たくさんの種類がある老人ホームですが、これから数十年は安泰な事業として、今も多くの参入事業者がいます。その影響もあり、さまざまなサービスが展開されていますが、種類が多すぎて、自分には合わない老人ホームを選んでしまい後悔する、といった事態も想定されます。本記事では老人ホームの種類と、各施設の特徴、具体的な選び方をご紹介します。
目次
終身老人ホームの種類と特徴
老人ホームは1度入居すれば、基本的にはずっとそこにお世話になります。自分自身や大切な家族を預けるからこそ、慎重に決めておくことで、後々トラブルになる可能性を減らすことができます。
では、終身老人ホームにはどのような種類があるのか、また入所要件や入居者の向き不向きを中心にご紹介していきます。
1.特別養護老人ホーム
特別養護老人ホームは公的施設であり、安価に入居できることが特徴です。看取り(死期まで見守る)も可能なため、終身老人ホームとして人気が高く、予算をできるだけ抑えたい方に向いています。
<入所要件>
・要介護3以上または精神病や認知症など介護度が高い
・すぐに入居をしなくてもよい(待てる)
※要介護1~2であっても、特例で認められたかたは入居が可能です。
デメリットとして、24時間のケアには対応していないことや、入居要件が厳しいため希望しても簡単に入ることはできません。また、待機期間が長くなることが多いため、すぐにでも入居したいというかたには向きません。
2.グループホーム
認知症高齢者を対象に少人数(グループ)で共同生活をする、地域密着型の老人ホームのひとつです。グループホームは、介護保険法第8条第20項により「入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活の世話及び機能訓練を行う」と定義されています。
<入所要件>
・65歳以上
・要支援2、要介護1以上の認知症患者
・施設と同一地域に住んでいる
・初期費用に0~100万円程度を出せる余裕がある
・月額10~30万円前後を払える経済力がある
グループホームは、アットホームさがウリで、部屋は個室または個室に近い空間で、プライベートエリアは確保されています。ただし、医療看護スタッフの常駐は義務づけられていないため、入居の際に必ず確認しましょう。
3.介護付き有料老人ホーム
金額は非常にばらつきがありますが、全体的に上記2つより高額になることが多いです。入居要件も施設の方針によるため、明確な条件があるわけではありません。入居予定の施設に問い合わせるのが確実です。
介護付き有料老人ホームのメリットは、24時間体制の介護に加え、介護度で料金が決定するため、都度料金が発生せず予期せぬ出費を抑えられる点です。
比較的入居しやすいため、金額がかかっても早く入居したいかたに向いています。
4.住宅型老人ホーム
老人ホームではありますが、基本的に介護はつきません。外部サービスと契約することで、軽度の要介護までなら対応が可能な施設が多いです。介護度が上がらなければ、レクリエーションが充実しているなど、入居者が楽しめるようになっています。
料金も介護付きと比べると割安になります。介護度が上がると退去の必要が出てくるため、慎重な決定が求められます。
多少介護が必要で、家族の協力が難しい場合に選ばれることが多いようです。
5.サービス付き高齢者向け住宅
日中に介護サービスが受けられる65歳以上の高齢者向けの賃貸住宅です。費用は住む地域にもよりますが、5~20万前後と、普通の家賃に多少上乗せした程度で抑えられることもあります。
一般型と介護型に分かれており、介護型の方が生活支援、リハビリ、介護サービスが手厚くなっています。一般型はバリアフリーなどの配慮はされていますが、人の手を借りる際は外部サービスが基本だと思いましょう。
6.ケアハウス
一般型と介護型があり、一般型は買い物などを楽しみたいかたに人気の施設となっています。ケアハウスは個室のため、プライバシーの確保ができる点も魅力です。
サービス付き高齢者向け住宅と違う点としては、自治体の援助があるため価格が比較しても安いこと、介護スタッフが必ず常駐しており、介護保険を問題なく使えることです。
後悔しない老人ホームの選び方
ここまで、老人ホームの種類を簡単にご紹介してきました。どの施設も「この介護認定だから、必ずここに入れる」というわけではなく、地域によって条件や金額がかなり変わります。
間違えてはいけないのは、独自に判断せず家族と相談して、現実的に入居可能なところにすることです。ここからは、具体的に選ぶ方法について解説していきます。
1.求める優先順位を設定する
必要サービス、費用、あるとよいサービス、といった具合に優先順位を決めていきましょう。
まずは、絶対に必要なサービスを整理します。それが受けられなければ意味がありませんので、しっかりと洗い出します。必要サービスの整理が終わったら、次は費用です。今いくら予算があって、継続的にいくら払い続けられるのか、計算して金額を決めておきましょう。
ここまで来れば、老人ホームはかなり絞れますので、そこからどのようなサービスがあるか調べていきます。
2.情報を収集する
費用と必要サービスでフィルターをかけ、残った介護施設の情報を収集します。大抵はパンフレットや資料を請求できることが多いですので、できる限り取り寄せましょう。届いた資料とインターネットの情報を見ながら、さらに施設を絞り込んでいきます。
3.見学・体験入居をする
ある程度絞りこめたら、見学または体験入居を申し込みましょう。見学に対応していないという施設もありますが、公的施設でない限り、見学ができない時点でリスクが高いので、候補から外しましょう。
入居予定者が気に入った老人ホームがあれば、疑問点はスタッフに質問していきます。とくに金銭トラブルはつきものですので、どういった場合に支払い請求がされるか、細かく質問します。そのほか、見学や体験入居の際にチェックしたいポイントは、下記の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
早く入居したい気持ちがあったとしても、ここで手を抜くと後悔する可能性があるため、できれば入居者本人を交え、親族で話しあいながら慎重に決定してください。
最後に
老人ホームは、自分や大切な家族の“終の住処”となる大切な場所です。資料だけではなく、時間をかけて目で見て、話して、肌で感じることがとても大切です。一見、非常に面倒と感じるかもしれませんが、後々トラブルになり新しく施設を探すよりも、費用も時間も手間もかかりません。こちらの記事を参考に、ぜひ、よい老人ホームと巡りあえることをお祈りいたします。