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介護をする家族の目線から

介護の基礎知識

介護の基礎知識

介護は子育てとは違い、先が見えません。死へと向かって少しずつ弱っていく被介護者に寄り添っていくことです。こう言ってしまうと感傷的になってしまいますが、家族は現実から目を背けず、上手に介護と付き合って、介護を受ける人たちもその家族も豊かに笑って暮らせるようになりたいものです。そして幸せな最期を迎えられるようにしていきましょう。ここでは介護の基礎知識として、その取り巻く環境や制度、介護の実際をリポートします。

在宅介護か施設介護か

まず、介護が必要な人ができたら、大きく2つの選択肢があります。ひとつは、介護者と被介護者が同居して生活する在宅介護。そしてもうひとつは、介護保険制度のもと、被介護者に介護度という等級がつけられ、その介護度をもとにし、介護を受けられる施設に入所して生活する施設介護です。

在宅介護、施設介護それぞれに、メリットとデメリットがあります。ここでは、その一例をご紹介します。

在宅介護のメリット

一番のメリットともいえるのが、被介護者が住み慣れた家で暮らせることです。地域にも理解があれば、まさにチームケアの精神で安らかな暮らしを提供できることでしょう。
介護は、キーパーソンとなる家族が中心となり進めていきます。家族間で見守っていけるため、被介護者も気兼ねなく、連携してよりよく介護がしやすくなり、その結果、施設介護に比べ、介護費用が比較的安価に済んでいきます。

多少の介護テクニックを習得し、介護保険制度など法律や行政のサービスの活用にあかるくなり、家族の生活プランを管理していくことで、介護負担を少なく生活することも可能となります。別の捉え方をするなら、被介護者と家族、それぞれが希望する介護を実現しやすいということにもなります。

施設介護では、「その人らしく」「一人ひとりにあった介護」とうたっていても、食事の提供や入浴など、時間の制約は大なり小なりあります。在宅介護であれば、家を起点にして、介護保険の枠内でヘルパーをお願いすることができ、デイサービスや短期入所施設も、いわば保養の施設としてうまく活用していけるでしょう。

在宅介護のデメリット

なによりも、家族介護による身体的・精神的・社会的負担が大きいことです。介護期間は平均5年程度といわれており、介護費用は月額平均8万円程度かかります。

介護を続けていくと、被介護者の身体介護は昼夜問わずやってきて、日々油断なく、疲労は相当に過多となります。さらに家庭という閉鎖空間では、ひとりで戦っている感覚に陥り、そのストレスから鬱になったり、虐待に走ったりしてしまうこともあります。

終わりなく感じる介護が終わったとき、介護のため仕事を辞め、私財をも費やし、遺された家族の生活が成り立たないことも少なくありません。これを介護離職問題といい、長引く介護生活でのネックとなるところなので、しっかり生活管理していかねばなりません。

介護用品購入・レンタルや家の改修や改造を伴う費用には上限があり、自費負担分が発生することも多々あります。ほか、医療介護の制度下で減額可能な要件もあるので、地域包括支援センターやケアマネージャーなどから、介護保険法などの知識習得が必要となります。

家族順位や関係性の変化対応の困難さはよく聞かれるもので、あまり折り合いがよくない被介護者の介護をすることは、苦痛なことでしょう。身体の大きな人重い人、認知症で乱暴になった人…、看ていくのは大変なことです。家族間で、キーパーソンは誰か、介護する人は誰なのか、費用負担をどうするのか、親類で前もって申し合わせておかないと、深刻なトラブルとなることも多いのです。

施設介護のメリット

24時間体制で介護・看護にあたってもらえます。家族は被介護者と一定の距離を保て、介護による心身の負担は、かなり少なくなります。

栄養バランスのとれた食事やレクリエーション、特殊入浴などを一貫して提供してくれるサービスも充実しています。介護スタッフ、看護師、医師、理学療法士、ケアマネージャーが緊密なコミュニケーションをとり、チームケアが展開されます。また、同世代の人が入所していることもあり、レクリエーションなどを通じて交友関係が広がっていくこともあります。

施設介護のデメリット

なんといっても、施設利用費が高額です。地域や形式によっても異なりますが、要介護3の人が特別養護老人ホーム(特養)に入所した場合、諸々の減額制度を受けても月額14万円程度かかります。それでも特養は比較的安価な方で、有料老人ホームなどでは30万円超という例も少なくありません。基本的に食費・生活費は自費負担で、介護保険制度などの適用外となります。

介護度が高くなるにつれて費用もだんだん高くなり、補食品や吸引用の諸物品などの個々に必要な医療品・介護用品の購入費もかさんできます。

また、医療依存度が高くなった場合や、入所者による過度な暴力行為やセクハラなどの問題行動があった場合は退所を迫られることもあります。これらの条件は契約書に盛り込まれていますので、入所を決める際は契約内容をきちんと理解しておく必要があります。

上記を含め、施設によって設備やスタッフの質にも差があり、初見のみではなかなかよい施設を見極めることはできません。1人の命を預けるに足る、いつでも安らぎの時間を提供してくれる施設かどうか、しっかりと確認しなくてはなりません。

在宅介護と施設介護、それぞれのメリット・デメリットをよく考え、被介護者とその家族に本当に合った介護の形を選べるように準備しおくことが大切です。

介護保険制度

介護に関しては、介護保険制度を抜きにしては語れませんので、その概要を簡単にご説明します。介護保険制度は、基本的には在宅介護に適用されます。施設介護に関係ないわけではありませんが、施設においては、福祉用具のレンタルなどかなり規制があります。自己負担額1~3割で、サービスを受けた分の月々支払いとなる応益負担を採用しています。市区町村単位での財政管理となっており、行政間で若干のサービス額の差異があります。

介護度という等級を設け、要支援1から要介護5まで7段階で分けています。介護度が上がれば自己負担額もおのずと上がるので、1割負担とはいえ、かなりの金額となります。そこである程度の負担上限額を超えたら、超えた分が還付される高額介護サービス費など減額・還付の制度を設けています。

保険適用は40歳からで、40歳から65歳未満の方を第2号被保険者として、健康保険と一緒に徴収しています。ただし第2号被保険者は、老化に起因する16疾病のみ保険の適用となります。65歳以上のすべての人を第1号被保険者といい、疾病のいかんを問わず、公正な認定調査・判定によって介護度がつけられ、それに見合う介護サービスを受けることができます。

まず介護に困ったら行政窓口や各地の地域包括支援センターに相談してみましょう。介護保険を管理しているケアマネージャーが、要介護者の依頼を受けて在宅・施設においての介護生活を支援してくれ、調整を行ってくれます。在宅では支給額最大20万円の住宅改修費や特定福祉用具購入につき最大10万円分の費用支給があり、工夫によって在宅生活がしやすくなる項目もあります。その一方で、介護保険全体を通して改正年ごとに支給要件が厳しくなってきていて、受けたいサービスが受けづらくなっていることも現実です。

このほか医療系の制度に、後期高齢者医療制度(国民健康保険に相当するもの。自己負担額1~3割で、それぞれの収入に応じて月々支払いとなる応能負担を採用)や、高額医療費制度(医療費がある程度の負担上限額を超えたら、超えた分が還付される)などがあります。

また、高齢者の権利擁護、財産の適正運営を行う成年後見制度(高齢者の認知度により家庭裁判所が認める法定後見人と、高齢者自身が依頼する任意後見人の2種類)などがあり、行政によっては見守りサービスなどを独自に創設して、市民福祉を充実させているところもあります。

制度のあらましを書きましたが、やはり、在宅につけ施設につけ、相応の金額がかかります。金銭的余裕がないと在宅で家族主体となり、介護しなければならないことになるでしょう。次の項目では、実際の介護について述べていきます。自分たちでできるもの無理なものを見分け、上手に福祉サービスを活用しましょう。

介護の実際

認知症とは

認知症は、脳の萎縮や加齢による異常、血管障害に起因する病気で大きく下記の3つに分けられます。
・アルツハイマー型認知症
・脳血管性認知症
・レビー小体型認知症などそのほかの認知症
症状は、おもに運動機能の低下、食物の飲み込み消化吸収の弱まり、排泄機能低下・尿便失禁の出現、意欲低下、物忘れから物を認知する機能が低下し、異食行為や危険行動に至ることもあります。昼夜逆転して、幻を見聞きしたり暴力的になったり意欲低下が見られたり(せん妄症状)、徘徊行為も見られることがあります。初期の段階で病気を発見して治療すれば、症状を遅らせたり緩和したりすることは可能ですが、完治することは難しいとされています。

まず、認知症は病気であることをよく理解しましょう。まともに意見したり、叩いたりしても被介護者にはまったく効果はありません。被介護者には理解できず苦痛なだけです。誰でも通る道、多くの人が陥るところと思い、気持ちにゆとりを持って介護にあたっていただければと思います。

三大介護

入浴・排泄・食事の介護を三大介護といいます。これは人として最低限しなければならない3つの項目です。生活の証なので、しっかりと介護できるようにしましょう。また、施設でこれらをおろそかにしているようなら、豊かな生活を提供できていない劣悪な施設といえます。三大介護といっても、被介護者により注意や配慮がそれぞれに違うものなので、ここでは概略としてご紹介します。

入浴介護

入浴介護は、浴室・脱衣場はよく暖め、危険物を取り除き、介護用品・入浴物品を十分準備して実施します。被介護者の好みにもよりますが、洗髪、洗顔、洗身と行うべきでしょう。拘縮部や陰部はとくによく洗います。入浴はリラクゼーションでもあり、人によっては「唯一の楽しみ」ということもあり得ます。心疾患など命にかかわる被介護者には短浴・丁寧であるとして、そのほかの方はゆっくりと念入りにお付き添いすることを心がけましょう。

排泄介護

排泄介護は、特にデリケートなものですので、入浴同様、プライバシーに十分配慮しましょう。尿や便の観察もおこない、健康管理につなげていきます。過度に尿取りパッドやオムツを使用して詰め込みなどせず、排泄パターンをつかみ、適時トイレ誘導・パッド交換を行いましょう。また、陰部より感染症を患われることもあるため、適宜陰部洗浄します。同時に床ずれなどないかもチェックしてください。

食事介護

食事は、入浴同様、行動が限られる被介護者の楽しみのひとつでもあります。料理の説明や声かけをしながら、ゆっくり味わえるように配慮します。配膳の仕方や自助具の使用なども工夫をする必要があります。また、食事をいっぺんにかき込まれる方へは、少量ずつお出しするなど配慮しましょう。脳梗塞の片麻痺の場合、麻痺側に食べ物を溜め込まれるため、健側から食事を差し上げます。被介護者のペースに合わせ、噛むこと・飲み込むことに異常がないか細心の注意を払います。小さなスプーンで被介護者のペースや食べられる適量を見極めましょう。

三大介護のほかにも、生活を送っていくうえで必要な介護は多々あります。すべてご説明はできませんが、共通して言えることは、被介護者の立場から考え、彼らをサポートしていくという感覚が重要ということです。テクニックやコツといった発想ではなく、被介護者それぞれに合わせた介護のやり方がある、と認識するとよいと思います。被介護者と家族とそれぞれが納得のいく介護を目指していきましょう。

虐待とは

虐待には、叩くなどの身体的虐待、罵倒するなどの精神的虐待、外出をさせないで社会から隔離するなどの社会的虐待、胸を触るなどの性的虐待などの種類があります。

国がガイドラインを設けているわけではないので、何をすれば虐待かそうでないのかを分別することはできません。要は、悪意なく愛護的に介護することをよしとするわけです。双方が納得のうえで、軽口を言うくらいならよいのですが、介護する側の一方的な感覚で、被介護者の尊厳や意思を黙殺することは、どんな形であれ、過度も軽度もなく虐待です。被介護者の側に立ち、被介護者、家族が対等に豊かな生活を送れることがベストな介護なのではないでしょうか。

まとめ

介護はお金がかかります。そして、身体的にも精神的にも疲労困憊となります。つらいことが多いかもしれませんが、まず、在宅か施設か、だれが中心に看るか、お金のやりくりをどうするか、被介護者と家族との今後の生活を模索します。そして明確な介護計画を立てていきましょう。

家族は介護を頑張りすぎないことです。上手に介護サービスを活用しましょう。また、被介護者それぞれにあった介護の方法を見つけて、余計な気苦労のない、よい介護を目指していきます。それには介護保険制度や行政サービス、介護テクニックなどを学んでいく必要があります。

そして、介護を家族のみで抱え込まず、チームケアを意識して、家族も医師もセラピストも介護も看護もケアマネージャーも行政も、全員が共通認識のもと介護することがポイントです。

世間的には、いまだ施設入所をよしとしない風潮がありますが、被介護者を施設に預けることは「逃げ」ではありません。介護期間も長引くなか、被介護者の人生も、家族の人生も豊かにあるための選択肢として大いに有用です。

介護離職対策に、在宅・施設の併用できるような仕組みもできてきました(定期巡回随時対応訪問介護看護など訪問介護、デイサービス、短期入所が同一業者で一体として提供されるもの)。介護が終わった後、残された者が困らないよう、介護計画と家族の生活計画をしっかりと立てていきましょう。

介護を必要とする状態は、ほとんどの方が人生で通過するものです。そう理解して、被介護者へは敬いと労いの気持ちで介護できたらと思います。介護を明日に希望の持てるものとして、みんながステップアップできるチャンスと考えられるといいですね。