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ケアマネージャーが見てきた介護の世界

寝たきりの在宅介護で必要なこと

寝たきりの在宅介護で必要なこと

私はこれまでケアマネージャーとして、さまざまな高齢者やその家族の方とお会いして、介護を必要とする方が自宅で生活をするため必要なお手伝いしてきました。要介護状態でも自由に自分で外出ができ、好きなことをしている高齢者の方もいれば、末期がん、重度の認知症で介護が24時間必要な状態の方もいました。そのなかで寝たきりの介護とはどういうものなのか、ほんの一部ではありますが、在宅での介護の世界をまとめました。

寝たきり状態とは?

そもそも寝たきりとはどのような状態なのでしょうか?

介護認定を受ける際、「寝たきり状態」の目安となる「寝たきり度(障害高齢者の日常生活自立度)」というものがあり、それで寝たきりか、そうでないかが段階としてわかります。基準としては
・日中もベッド上での生活が主体であるが、座位が保てる
・日中ベッド上で過ごし、(ベッド上で)排泄、食事、着替えにおいて介助を要する
という2つが当てはまると「寝たきり状態」とされます。

つまり、自分で歩くことができたり、車いすで移動ができたりする場合でも、日中ベッド上で生活することがほとんどである場合は、寝たきりという判断になります。ただ、「ベッドで横になっているのが好きだからほとんど動きません」とか「面倒だからベッドでご飯を食べている」という方も『寝たきり』ということになってしまいます。なお、この判定は元気な高齢者は含みませんので、あくまでもなんらかの障害を持つ高齢者ということになります。

寝たきりになる理由

私の経験上、骨折をきっかけに寝たきりになってしまったという方が多くいました。そもそも人は急には寝たきりにはなりません。若い健康な人が足を骨折したからといって、そのままずっと寝たきりになるか、といったらそうではありません。

年齢を重ねていくとさまざまな病気やけがなどを患い、徐々に体力や筋力が低下していきます。身体が思うように動かなくなると外に出るのも大変になり、おっくうになってきます。外に出ないようになると身体機能の低下は加速し、ちょっとした段差で転倒、骨折する可能性が高くなります。

手術や治療で骨折は治り、その後リハビリを開始しますが、もともと体力や筋力が低下しているので思うような効果が出ず、そのまま寝たきりになってしまったというケースをいくつも見てきました。

転倒以外の理由としては病気の進行で体が動かせなくなってしまい、寝たきりになるということもあります。治療のためベッドで横になっている状況が続けば続くほど、その後の体力や筋力を戻すのが大変になってきます。

寝たきりの介護で必要なこと

「寝たきりの在宅生活でどんなことが必要になりますか?」とご質問を受けることがありますが、これは個人によってさまざまなパターンがありますので、一概にはお答えすることができません。

ただ、すべてに共通して言えることは、本人と家族が「在宅生活を続けていきたい」という気持ちが大切だと思います。本人や家族の「自宅にいたい」「大変だけど一緒にいてほしい」と思う気持ちは、長い介護生活のうえで、土台となってきます。その想いを叶えるために、周りにいるケアマネージャーやサービス担当者は、力を貸してくれるはずです。

長年過ごしてきた自宅で最期を迎えたいと思うのは当然のことです。もちろん、病院や施設は設備が整い快適かもしれませんが、落ち着く空間としたらやはり自宅ではないでしょうか。

1日でも自宅に戻りたい、という気持ち

私が担当していた方で、末期がんで寝たきりの方がいました。がんの進行が早く、全身に転移が見つかり入院が続いていました。もう余命もわずか、強い薬でもうろうとしているなか、一時退院を希望され自宅で1日だけ過ごすことになりました。話すことも難しい状態ではありましたが、自宅に戻れたことをとても喜ばれ、涙を浮かべ「ありがとう」と言ってくださいました。

その方が最期は「自宅で過ごしたい。」という気持ちを私は以前からうかがっており、家族もそれを強く望んでいました。その願いをぜひ叶えたいと思い、たった1日だけの一時帰宅ではありましたが、それでもとても意味のある1日だったと思います。

何十年と家族とともに過ごした自宅というのは他人にはわからないほど、いろいろな思い出があります。いくら散らかっていても、段差だらけで不便な家であっても、自宅が一番落ち着くものです。旅行から帰ってきたとき、ホッとする感覚。自宅は心を落ち着かせてくれる素敵な場所なのです。
自宅で過ごしたいと思う本人、そして自宅で過ごさせてあげたいと思う家族、それを支える周りのサービス事業者。これが在宅介護を行ううえで大切なことだと思っています。

無理なく続ける介護

寝たきりの状態になっての在宅介護は、想像をしているよりもはるかに大変です。便や尿の失禁、食事が思うようにとれない、体調を崩してしまうことの繰り返しは珍しくありません。自宅という介護をするための環境がそろっていないなかで、寝たきり状態の方の支援をするということは、本人にとっても、家族にとっても大きな負担が出てきます。

そのときには、さまざまな介護サービスを利用して、介護する側、される側の負担を軽減してください。とくに介護する側は、身体的にも精神的にも辛いことがたくさんあります。なにより大切なのは、介護している側の心身の健康です。在宅介護が継続できるように、家族も自分自身の時間を大切にしてください。頼るところは頼り、いつまで続くかわからない介護生活と上手に向き合っていく必要があります。

逆に「ずっと自分だけで家族介護していきたい」「介護サービスは信用できない」という熱い思いのある方は要注意です。はじめのうちはうまくいくかもしれませんが、いつか限界が来て、共倒れになってしまいます。ちょっとでも「つらいな…」と感じたら誰かに頼ることも、無理なく介護を続けていく方法だと頭に入れておいてください。

まとめ

寝たきりの在宅介護は、さまざまな状況のなかで「自宅で過ごしたい」という本人と「自宅で過ごさせてあげたい」と思う家族の気持ちが重なって、在宅生活が支えられていると思います。
そして、周りにいるサービス事業者の力を借りることも大切なことです。訪問介護、訪問入浴、ショートステイなどのほかにも、介護サービスはたくさんあります。介護者がうまく負担を軽減する方法を見つけることで、寝たきりの在宅介護も続けていけるはずです。